名古屋を誇りある都市に

河村名古屋市長に聞く

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名古屋市長として4期目を務めていらっしゃる河村市長を訪ね、名古屋の魅力や様々な施策のコンセプトについてお話を伺いました。この秋に75歳になられるという河村市長、名古屋弁が炸裂するお話の中に名古屋を愛する並々ならぬエネルギーを感じました。


名古屋市長 河村 たかし
昭和23年名古屋市生まれ。一橋大学商学部卒業後、家業に従事。平成5年愛知1区でトップ当選を果たし5期務める。平成21年衆議院議員辞職、同年名古屋市長選挙に出馬、「庶民革命」を掲げ当選。平成23年、25年、29年、令和3年も続けて当選し現在に至る。専門分野は経済、税制、情報通信、環境ゴミ対策、プライバシー法則。地域政党・減税日本代表。『名古屋発どえりゃあ革命』(ベスト新書)『名古屋から革命を起す』(飛鳥新社)他著書多数。


Q.「名古屋市は観光分野における魅力度が低い」と言われることもありますが、一方で米国『TIME』誌では「世界の最も素晴らしい場所」に選出されました。今後国内外から名古屋市へ人を呼び込むために、どのような施策をお考えですか。(愛知高等学校3年/山本健太)

TIME誌で名古屋が選出されたのは日本アニメとウイスキーが大きな理由だそうですね。つまりジブリパークとサントリー知多蒸溜所のことでしょう。どちらも名古屋市ではありませんが、海外の人たちから見れば市町村の境なんて意識しません。要は名古屋エリアという括りなんだと思います。でも名古屋市内でもテレビ塔の中にできたホテルを推奨していましたね、世界初の塔内ホテルとして。

名古屋の観光分野での魅力については様々な意見があるのは承知していますが、私は本物の文化的な象徴が必要だと思っています。たとえば名古屋城の天守。徳川家が三百年もの歴史を築いてきた城ですから、かつてあったように木造で本物を再現したいのです。図面や天守台の石垣が残っているので、文化庁の基準に基づいて、当時と同じ材料で同じ場所に作るんですよ。名古屋のランドマークとして誇りあるものにしたいと考えています。ニューヨークには自由の女神、ロンドンにはビッグベン、パリには凱旋門があるように。

名古屋は戦争で焼け野原になりました。名古屋城も燃えてしまいました。戦後復興の計画で、都心の墓を移転させ広い空間を作るとそこへ広い道路を整備したのです。整然としたまちづくりは、いわゆる生活感がある家並みや路地を失くし庶民文化的なものが損なわれてしまったように思います。昭和時代には白い街などと揶揄されていました。もう少し人間の息づかいが聞こえるような暮らしの空間があった方がいいのでは‥と感じます。私の持論ですけどね。名古屋を造り育ててきた歴史や文化を大切にする精神的な柱を守りたいと思っています。

Q.リニア中央新幹線の開通により、産業や人々の暮らしが大きく変わることが予想されます。そんな中で「なごやらしさ」を失わないために、どのようなことを行なっていく予定ですか。(金城学院高等学校3年/岡田真里奈)

基本的に都市や国の元気度は経済力に依るところが大きいです。経済力は重要ですよ。

リーマンショックみたいなものがあると、企業は守りを固めて借金を減らし内部留保を強化します。社会にお金が回らなくなるんですよ。現在のことでいえばコロナショックもそうですね。名古屋では昨年余ったお金が12兆円ありました。余っているお金を活用して名古屋への投資を活発にする必要があると思います。

名古屋の経済が強い背景には産業の力があります。世界ナンバーワンのトヨタを筆頭に、モノづくりの産業が名古屋を支えているのだと思いますね。加えて名古屋は東京と大阪の真ん中にあるという好立地。リニア中央新幹線が開通した時に産業で遅れをとることのないよう、名古屋城に代表されるような文化的魅力をつくることで、本社を名古屋に作ろうかと思ってもらえるようにしなければなりません。

Q.4期目の市長にとって、子どもの貧困はどう映っていますか。大事にしている考え方や施策を教えてください。また、子どもが生き生きと名古屋市で暮らせるために大切にしていることは何ですか。(愛知高等学校3年/永島花菜)

貧困は経済問題が一番大きな原因になるでしょう。名古屋市は毎年減税をしていますが、それでも貧困は無くなりません。親の貧困が子どもの生活に反映されますから、失業問題や賃金問題など様々な方面からの施策を行っています。

平成21年に掲げた「ナゴヤ庶民革命」を4期目の総仕上げとして、税金を1円でも安くし日本最高の福祉をお届けする、と公言してきました。中でも子どもに関して「1人の子どもも死なせないマチナゴヤへ」という目標は、何が何でも実現したいと思っています。子どもたちが生き生きと成長するためには、貧困の解消はもちろんですが、もう一つ大きな課題があると私は思っています。名古屋市でも子どもが自殺および自殺未遂をするケースがある。自殺の原因は進学や成績が上位を占めているんですよ。この競争社会で追い詰められてしまうのでしょう。勉強と遊びのバランスが悪いんですよ。子どもたちは遊ぶ暇もなく朝から晩まで勉強していますね、受験のために。好きなことに向かって勉強を頑張るのならいいのですが、押し付けや圧力で勉強させるのはどうか、と思います。子どもは好きなことを徹底的にやって大人はそれを応援する、というのが健全でしょ。そういう環境を整えたいですね。でもこれは名古屋市だけの問題ではなく、日本全体が考えるべき課題だと思います。

好きなことをするための受験ならいいけど、受験で合格するのが最終目的になっているというのはおかしいですよ。生きる道は一つではありませんし、優劣なんてつけるべきではないと思っています。成績に固執していい大学に入り大企業に就職するのがベスト、なんていうのは偏りすぎた価値観かなと思います。好きなことを見つけてそれを追求していく‥色々な選択肢がある環境で生き生きと育つ‥今の日本ではかなり難しいですね。

Q.連日の猛暑で熱中症の生徒が相次いでいます。そんな中で名古屋市では学校に対してどのような施策を取ると良いと思われますか。(金城学院高等学校3年/岡田真里奈)

この異常気象では行動を管理しなくてはなりません。気温・湿度の把握、水分補給、休養など各学校では万全を期して取り組んでいます。正確な把握と状況を甘く見ないことが大切だと考えています。名古屋市では早くからクーラーを全学校に設置しています。

熱中症対策はきっちりやらなくてはいけませんが、勉強、受験と夜遅くまで勉強させられ、順位を付けられるようでは、子どもたちは疲弊して、体力が落ちてしまう。まずはそこを改めないといけないと思いますよ。


◎インタビューを終えて

「1人の子どもも死なせないマチナゴヤへ」という目標を何としてでも実現すると、熱く語られた河村市長。市長が仰る方法論には課題も多いと思いますが、その思いは私たちの心に強く響きました。子どもに限らず名古屋市民にとって何が幸せなんだろう、社会の中で生きていくための、あるいは人間としての価値観はどうなのか‥今ある環境の中でどんな改革が必要なのか‥色々考えさせられる取材となりました。


Interviewer
山本 健太 愛知高等学校 3年
岡田 真里奈 金城学院高等学校 3年
永島 花菜 愛知高等学校 3年


ライティング:宮崎ゆかり
撮影:ミゾグチジュン

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