IG アリーナ

スポーツも!音楽も!エンターテインメントがゾクゾク

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今回は2025年7月に誕生したエンターテインメントアリーナ「IG アリーナ」を訪ねました。
アクセスも良く、名古屋城の北、名城公園の一画に位置しています。
存在感のある建物は大きいながらも威圧感がなく、周囲の緑あふれる景観との調和が感じられました。
建築家の隈研吾氏がデザインを手掛け、外観はアリーナ全体を彩る樹形アーチが何とも優しい雰囲気を醸しています。テーマは「木漏れ日」、これは館内にも生かされていました。私たちの身近なところに建てられた「IG アリーナ」は、B1リーグ所属クラブ「名古屋ダイヤモンドドルフィンズ」のホームアリーナになったり、2026年のアジア・アジアパラ競技大会の会場に決まったり、音楽ライブの予定なども発表され、ワクワクすることが目白押しです。
私たちはまずアリーナ内をご案内いただき、その後いろんなお話を伺いました。


Interviewer

鋤柄 陽大 第一学院高等学校2年
西田 朱里 千種高等学校2年
森 朱理 千種高等学校2年
堀内 海美 Penn Foster High School 2年

インタビューコーディネイト
立木 常雄 / 歌舞伎の学校 校長

株式会社愛知国際アリーナ COO補佐・広報渉外室室長 上村 哲也さん

Q.IGアリーナはスポーツとコンサート両方に対応しているとのことですが、各イベントの準備にはどれくらいの人数を要しますか。また震災時に、帰宅困難者などを受け入れる時の食料ストックはされていますか。(第一学院高等学校2年/鋤柄 陽大)

A.イベントを開催する時、IGアリーナ運営側と主催者側で別々の組み立てになります。イベントによって人数に差はありますが、IGアリーナ運営側での準備要員はおおよそ300〜400人くらいになりますね。これは飲食店アルバイトや警備関連も含んでいる人数ですが、スポーツもコンサートもそれほど変わりません。主催者側がイベント運営スタッフや警備員を出す場合もあります。電源系統やWi-Fiの設置・接続する方など協力会社も加わって準備を進めていきますが、すべてを合わせると概ね1000人ほど。とはいえケースバイケースです。

震災時などの対応については一定の基準があるので、それに沿った備えをしています。食料や飲料水の備蓄は3日分ほどです。また、予備電源などもあり、周辺が停電になっても3日間はライフラインが保てるような体制をとっています。

Q.隈研吾さんの「木漏れ日」をイメージしたデザインは、どのような思いや意図が込められていますか。名古屋城のそばにアリーナを建てるにあたって、景観との調和や環境面で意識されたのはどのようなことでしょうか。(千種高等学校2年/西田 朱里)

A.はじめに、IGアリーナを何故この場所に建てたのかについて、お話しますね。ここの少し南に愛知県体育館がありますが、1964年に建てられてから60年以上が経過し老朽化の問題があったほか、スポーツの国際大会の開催に必要な規格を満たしていませんでした。2026年には第20回アジア・アジアパラ競技大会も控えているので、新しいアリーナを作ろうと考えたわけです。名城公園は名古屋市が管理している公園のため、建てる場所を名古屋市と協議の結果、この北園で合意し、IGアリーナが実現したのです。

IGアリーナは名城公園という、名古屋中心部にほど近い大きな公園の中にありますが、これは世界的にも珍しい立地なのです。名城公園の緑の中で、圧迫感のない人間らしい空間にしたいと隈研吾さんは思われたそうです。そこで樹形アーチの外観になりました。樹形アーチはアリーナを360度囲んでいますが、せり出し方や角度は全て異なっており、その樹形アーチから陽の光が差し込むところ、すなわち「木漏れ日」の下に人々が集うことをイメージされたそうです。

IGアリーナに隣接する商業地域や、公園内外からアリーナへのアプローチなどで「木漏れ日」を感じていただきたいです。

ちなみに、IGアリーナの独特な形は、元々江戸時代の相撲小屋から着想して生まれたそうです。もちろん当時とは全く一緒というわけではありませんが、江戸時代の相撲小屋の賑わいを彷彿させているように感じます。IGアリーナを建てる時、大相撲名古屋場所をここでやることを目標としていたので、それに向けて関係者が協議、決定したのですよ。

左:株式会社愛知国際アリーナ 広報渉外室セールス&オペレーション部 マネージャー 藤川 万亜沙さん
右:愛知県スポーツ局愛知国際アリーナ課主査 運営・支援グループ班長 佐藤 親さん

Q.周辺環境や地域との共存のために配慮されている点はありますか。また、今後IGアリーナではどのようなイベントや国際大会を目指していますか。(千種高等学校2年/森 朱理)

A.スタジアムとかアリーナは各地にありますが、商業施設が併設されていて、いわばテーマパークみたいになっているところが多いです。それは今のトレンドになっていて、より賑やかな場所にしようという傾向があるのです。立地から考えてもそうせざるを得ないという側面もあるでしょうね。しかしIGアリーナは街の中心部近くの公園の中にあり、商業施設ではありません。ある意味、商業施設ではないことが強みにもなっています。施設内で全てを囲い込まず、エリア全体の価値を上げるということに挑戦しようとしているのです。地域の方々と話し合うエリア連絡協議会では、周りの商店街や商業施設、行政の方、公共施設の方、あるいは大学も含めてエリア価値を上げるための話し合いをし、従来の地域文化を守ること、新たな賑わいを創出することの両面から地域とともに歩む体制を一緒に考えていきます。イベント日には出口や階段、導線を工夫して混雑の緩和に努めるなど、最も大切なのは「安心・安全」だと思っています。

今後については、いろんなスポーツ大会を開催して欲しいと思います。それによって地域の方々がスポーツに触れる機会を提供できればいいなと思うのです。また、スポーツや音楽コンサートなど様々なイベントが数多く開催されれば、いわゆる「名古屋飛ばし」も解消されるのではないでしょうか。今まで名古屋でのイベント開催数は少なかったと思いますが、先だって行われたバスケットの八村さんのキャンプは名古屋だけで開催されるなど、インパクトもあり大変好評でした。このキャンプは参加する中高生が、NBAで行われるような世界レベルの練習方法を実践するキャンプでした。その子たちが成長してまた戻ってきて…というような循環、教育・育成に関わるようなイベントもやっていきたいと思っています。

Q.IGアリーナを通して地域の方々や利用者に対して、どのように影響を与えたいとお考えですか。また誕生から半年経過する運営期間において、実際の様子、課題などはいかがでしょうか。(Penn Foster High School 2年/堀内 海美)

A.先ほどの総括になりますが、やはりアリーナというのはずっと100年先まで残っていくような仕事であり場所であリたい、ということでしょうか。地域全体を巻き込んだ賑わいが生まれ、また日常の中の存在として、人生の活力にしてもらえるといいなと思っています。IGアリーナはアクセスも良いので、日常の中で少し元気が出ない時とか、楽しみが欲しい時とか‥そういった時にちょっと立ち寄ってもらって、活力になっていく、そんな場所になれるといいなと思っています。

また、施設面で言いますと、IGアリーナにはサブアリーナが併設されています。ここは興行の時は物販の場所などとして使用しますが、興行のない日は体育館レベルの料金で部活や卓球大会など県民・市民の方の「する」スポーツの場としても利用できます。多種多様な顔を持ち、地域の方に愛され、力になれる場になりたいですね。

2025年7月に誕生してから半年、IGアリーナは順調に推移しており、10月時点で20万人くらいの客数を挙げています。課題は何といっても「安心・安全」をどう担保するかということですが、人流のコントロールが鍵になると思います。イベントによって来場者の層が全く違います。相撲だとシニアの方が多く速度がスローだったり、12月のフィギュアスケートグランプリファイナルでは圧倒的に女性が多く階段などの足元が気になります。それぞれの利用者特性、状況に合わせて運営の経験値を上げていき、課題をなるべく未然に潰せるようにしていきたいと考えています。

IGアリーナを実際に見て、まず特異な外観に驚きました。樹木が上手く使われていて、無機質ではない温もりを感じたのです。中に入ると、そのスケール感に息を呑みました。見える景色が想像とは全く違い、とても臨場感あふれる壮大さだったのです。1階から最上階までご案内いただき、どの階でも見やすい設計、座席の工夫がされているのに感動。これはすり鉢状の座席配置で角度が調整されているのだとか。おかげで最上階からも怖さを感じることはありませんでした。座席のほか、吸音材の壁など細部に至るまで熟慮された設計に感動しました。また飲食店がバリエーション豊かで、名古屋メシをはじめ、約20の店舗で世界各地の料理がラインナップされています。注文が殺到して混雑を招かないようモバイルオーダーシステムが導入されていました。通信環境も秀逸で、世界で初めて開業年度から次世代情報基盤「IOWN」が導入されたほか、ドコモのミリ波基地局装置、最新規格のWi-Fi7が設置されているのだとか。

4階の窓の外、南方向の森の向こうにはライトアップされた名古屋城がくっきり見え、感動冷めやらぬ取材になりました。


IG アリーナ
名古屋市北区名城一丁目2-22
https://www.ig-arena.jp


ライティング:宮崎ゆかり
撮影:ミゾグチジュン

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