名古屋市科学館

The Nagoya City Science Museum

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読者の皆様、名古屋市科学館はご存知ですか?
今号はその科学館に働く若手学芸員の方を取材させていただきました。

名古屋市科学館は、2011年3月にリニューアルオープンしました。中でもプラネタリウムは、ドーム内径35メートルという世界最大級の大きさで、限りなく本物に近い星空の再現を目指しています。

プラネタリウム以外にも生命科学、地球科学、物理や化学などの展示室があります。そのいずれの展示室にも学芸員の皆様が働いています。それでは3名の学芸員に登場していただきます。

Interview.1

柏木 晴香(三重県出身・名古屋大学卒)

生命科学分野を担当するのは、柏木晴香学芸員です。子供の頃から生き物や自然が大好きで大学では生物の生態について学びました。大学生の頃、名古屋市科学館にインターンに来た時に学芸員という仕事の魅力を知りました。ここでなら生物や自然科学に一生関わり続けることができ、多くの人達とその面白さを共有できると思ったそうです。

担当する仕事は様々ですが、例えば常設展示室で展示している生物の維持管理や、お客さんと一緒に実験をする「生命ラボ」の運営は主な仕事の一つです。また、特別展を担当することもあります。最近では、残念ながら新型コロナウイルスの感染拡大防止のため公開されなかった「マンモス展〜その『生命』の過去と未来〜」を準備していました。2019年夏の「絶滅動物研究所」は約2年かけて企画し、全国の自然史博物館に絶滅種や絶滅危惧種の標本を貸し出してもらうための交渉に行ったりして展覧会を作りました。人間が引き起こした絶滅という重いテーマを、暗くなるばかりでなく、見た人に人間とその他の生き物との関わり方を考えてもらえるよう工夫を凝らしました。会期中にお客さんの反応を見るのはとても嬉しくやりがいを感じます。

この仕事では小さな子供から大人の方まで一般の方とお話する機会が多くあります。より多くの方に自然に親しみ、科学に興味を持ってもらうことを目標にして、相手のバックグラウンドを理解してお話しするように心がけています。

Interview.2

髙羽 幸(愛知県出身・名古屋大学卒)

天文分野の担当学芸員は7人おり、そのうちの1人が髙羽幸学芸員です。小さい頃から名古屋市科学館が好きで、何度も訪れていました。高校生の時、見慣れた展示物に「学校の授業で習ったこと」が散りばめられていることに気付き、科学館だけでなく高校の勉強も楽しくなりました。そのうち、科学館で学芸員として働くことが夢になり、興味のあった天文学を学ぼうと思い、大学に進学しました。

プラネタリウムでは、見学者の顔が見えない中で解説をします。自分の言葉が聴き手に正しく伝わっているか、常に意識して話しています。また、心地よく話に集中してもらえるように、失礼のない言葉遣いにも注意しています。私たちの解説に原稿はありません。だからこそ、各回の解説者の個性がにじみ出て、同じテーマでも様々な切り口で楽しめます。タイムリーな話題をすぐに解説に盛り込めるのも、生解説である当館のプラネタリウムの強みです。

また、投影する番組は私たちで制作します。こだわった番組で解説をして、「今晩星を探してみようか!」という会話が聞こえるととても嬉しいです。プラネタリウムに来られる方は、年代も価値観も多様です。その中で、皆さんに等しく星空を見上げるきっかけを作る解説者になりたいと思っています。

Interview.3

山田 厚輔(愛知県出身・名古屋工業大学卒)

名古屋市科学館には異色なキャラクターの学芸員も。化学担当の山田厚輔学芸員は大学4年生の終わりに当時所属していた研究室の教授から学芸員という職業を紹介され、名古屋市科学館の現役学芸員を訪ねました。そこで学芸員の仕事内容ややりがいなどを聞き、これが私のやるべき仕事だ!と直感しました。

しかし、当時は学芸員の募集がなかったためすぐに学芸員にはなれず、しかも最も重要な学芸員資格を持っていませんでした。そこで一般企業に就職し働きながら通信大学で学芸員資格を取得するため仕事と勉強の両立に励み資格を取得しました。そして、運がいいことに学芸員の募集があり、これまた運がいいことに化学担当の学芸員として採用されました。

学芸員になってからはサイエンスショーの演示や企画に力を入れています。ショーで気をつけている事は、実験もそうですが何より来館者に楽しんでいただくため、笑顔はもちろん発声やテンポ、間など来館者をひきつける話術にも気をつけています。時には他の科学館のサイエンスショーを見て参考にするなど、様々な方法でショーを研究しています。

サイエンスショーは平日は3回、土日は5回毎回違う演目を行っています。通常は実演などを担当する運営員が行っているので学芸員が演示を行うのはレアですが、ぜひ私のショーを見に来て欲しいです。

また現在は公式ユーチューブチャンネルを立ち上げ、科学や科学館に関する動画を発信しています。今後は、他の科学館も巻き込んだサイエンスショーの企画にも参加する予定ですので、ご期待ください。

将来の夢は、世界中の人が一緒に楽しめるようなサイエンスショーを企画してみたいです。科学に国境はありませんから、みんなで笑って楽しんで学べるショーを目指したいと思います。

※学芸員という職業は、科学の楽しさを分かりやすく伝える事で、特に未来を担う子ども達に伝える事が今後の社会にとってなくてはならない業務と感じました。皆様のこれからの益々のご活躍を期待しております。

今回ご紹介させていただきました3名の方の就職するきっかけがそれぞれ違う様に、高校生の皆さんのこれからの将来を描いてみる機会になれば幸いです。


名古屋市科学館
http://www.ncsm.city.nagoya.jp/

〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄2丁目17−1 芸術と科学の杜・白川公園内

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  • 突然ですが、みなさんの将来の選択肢に、「学校の先生」は入っていますか?
  • 2021年8月から22年6月までフィンランド留学をし、時折スキッフルの記事を執筆してました。
  • 今年度の第9期若者議会は、15人の委員と5人の市外委員で活動します。
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